二酸化ケイ素SiO2は石英(ガラス),ケイ砂,水晶の主成分で,下図のような構造をしている。同族の炭素Cの場合は,CO2分子となり,分子結晶(CO2分子が多数分子間力により結合した結晶)となるが,SiO2は図のようにSi原子が正四面体の中心にあり,その頂点にO原子が結合する。これはSiO2の単位の繰り返しで,三次元の(SiO2)nの構造@をした共有結合の結晶(すべての原子が共有結合で結合した結晶)となる。
化学的には安定で,NaOH,Na2CO3などを加えて加熱すると反応しA,また〔 フッ化水素 〕の水溶液には溶けるBが他の試薬とはほとんど反応しない。
ケイ酸ナトリウムNa2SiO3に水を加えて熱すると,無色透明で粘性の大きな液体が得られる。これを〔 水ガラス 〕という。水ガラスに酸を加えると,弱酸であるケイ酸H2SiO3が白色のゲル状の沈殿として遊離する。
ケイ酸H2SiO3は,実際にはSiO2とH2Oが種々の割合で結合したものと考えられ,一般にはSiO2・nH2Oの組成で表される。ケイ酸は水には溶けず,加熱して乾燥すると,多孔質でSiO2・nH2Oのnが0に近い物質になる。これを〔 シリカゲル 〕といい,水蒸気や他の気体を吸着するので,〔 乾燥剤 〕や〔 吸着剤 〕として用いられる。
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