炭素,ケイ素とその化合物

【炭素とケイ素】

  炭素とケイ素はともに価電子(最外殻電子の数)が〔 4 〕の非金属元素で,イオンにはならず,主として〔 共有結合 〕の化合物をつくる。炭素の単体にはいくつかの〔 同素体 〕がある。ダイヤモンド,グラファイト(黒鉛),無定形炭素,フラーレンなどがある。下にダイヤモンドと黒鉛の模式図を示す。

ダイヤモンドは4つの価電子全てを用いて他の炭素原子4個と共有結合している。そのため,〔 正四面体 〕構造がいくつも重なり合った結晶となり非常に硬くなる。一方,黒鉛は3個の価電子を用いて他の炭素原子3個と共有結合している。そのため,平面で炭素6個が〔 正六角形 〕構造を形成して,

その平面構造がいくつも重なり合った結晶となる。平面構造どうしは互いに〔 分子間力 〕(共有結合に比べると弱い結合)によって結合しているため,タイヤモンドよりも柔らかい結晶となる。また,黒鉛は炭素原子が価電子を1個余らせている。この余った価電子が金属結合の  〔 自由電子 〕のようなはたらきをするため,〔 伝導性 〕が生じる。

ケイ素Siはケイ素原子がダイヤモンドと同様の構造をした結晶である。しかし,ダイヤモンドの共有結合よりも結合力が弱く,光や熱によって結合の一部が切れ,そこで生じた不対電子が,自由電子のようにはたらくので,条件によって電導性を生じる。このため,ケイ素は〔 半導体 〕として用いられる。

 
 

【二酸化炭素と一酸化炭素】

 
 
 

  B 濃硫酸には化合物からH2Oを取る性質(脱水作用)がある。〔 HCOOH → CO + H2O 〕

         硫酸は脱水するだけで,自身は変化しない(触媒としてはたらいている)ので,反応式には入れない。

   C 〔 CaCO3 + 2HCl → CaCl2 + CO2 + H2O 〕

            (無機化学の反応式 パターン9 弱酸の塩と強酸 ⇒ 弱酸と強酸の塩)CO2H2Oは炭酸H2CO3に相当する。

 

【二酸化ケイ素とケイ酸塩】 

二酸化ケイ素SiO2は石英(ガラス),ケイ砂,水晶の主成分で,下図のような構造をしている。同族の炭素Cの場合は,CO2分子となり,分子結晶(CO2分子が多数分子間力により結合した結晶)となるが,SiO2は図のようにSi原子が正四面体の中心にあり,その頂点にO原子が結合する。これはSiO2の単位の繰り返しで,三次元の(SiO2)nの構造@をした共有結合の結晶(すべての原子が共有結合で結合した結晶)となる。

  化学的には安定で,NaOHNa2CO3などを加えて加熱すると反応しAまた〔 フッ化水素 〕の水溶液には溶けるBが他の試薬とはほとんど反応しない。

  ケイ酸ナトリウムNa2SiO3に水を加えて熱すると,無色透明で粘性の大きな液体が得られる。これを〔 水ガラス 〕という。水ガラスに酸を加えると,弱酸であるケイ酸H2SiO3が白色のゲル状の沈殿として遊離する。

ケイ酸H2SiO3は,実際にはSiO2H2Oが種々の割合で結合したものと考えられ,一般にはSiO2nH2Oの組成で表される。ケイ酸は水には溶けず,加熱して乾燥すると,多孔質でSiO2nH2Oのnが0に近い物質になる。これを〔 シリカゲル 〕といい,水蒸気や他の気体を吸着するので,〔 乾燥剤 〕や〔 吸着剤 〕として用いられる。

 
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A 〔 SiO2 + 2NaOH → Na2SiO3 + H2O 〕

    〔 SiO2 + Na2CO3 → Na2SiO3 + CO2 〕      

B 〔 SiO2 + 6HF → H2SiF6 + 2H2O 〕H2SiF6ヘキサフルオロケイ酸

 

A,Bより,NaOHNa2CO3の水溶液はガラス瓶にゴム栓で保存。ガラス栓では瓶とくっついてしまう。フッ化水素の水溶液はプラスチック容器で保存する